さて、小生の「いきなり乗合船に乗ってみた」シリーズの第3弾である。
ちなみに第1弾・第2弾はこちら。
前々からタチウオテンヤには興味があったのだが、なんせ電動リールが高すぎてまだ購入できていない。
4万円以上なんてお金はヒックリ返ってもないのである。
ヤフオクやメルカリをチェックはしているのだが、程度のよさそうなものが格安で出てこないのだ。
水深100mほどを狙うこともあると聞いていたから、さすがに手巻きでは厳しかろうし、巻き上げスピードが違いすぎて他のお客さんに迷惑もかかろうと思い二の足を踏んでいた。
マダコシーズンは自分の中では終了。
次の狙い物が定まるまではホームの沖堤で本来の釣りに戻ろうと考え、週末は通しで和田防に向かう予定だったのだが…なんと予報は風速7mの強風。
半夜であればなんとか踏ん張ろうか、というような風速であるが、通しで一晩中吹かれると堪ったもんじゃない強さである。
天候不順で中止=家でゆっくり、なんてことにはならないのが釣り人の悲しい性。
もう頭の中では釣りに行くつもりだったので急に予定が無くなっても困る。
困っているのは小生だけで釣行せずとも誰も困らないのであるが、行きたいものは行きたいのである。
他に何かないか、と色々な情報を集めていると、どうやら須磨沖のタチウオが好調で、しかも水深60mほどの浅場で釣れているという。
水深60mであれば松帆沖周辺のガシラ狙いとほぼ変わらない水深。
それならなんとか手巻きでも対応できるであろう。
ダメ元で電話してみた須磨の純栄丸さんが「1人だけなら乗れるよ~」という回答。
う~ん、まるでパズルのピースがパチパチとはまっていく感覚。
どんどんタチウオへと誘われていく小生。
ここまで条件が揃うなら行かねばなるまい!と自分に言い訳し、いきなりではあるがタチウオテンヤに挑戦することと相成った。
ちなみに竿などの道具がどこまで流用できたかの報告は次回に譲る。
今回はあくまで「タチウオテンヤ初体験で乗合船に乗るとどうなるか」のみ披露させていただくとしよう。
2019年8月25日、純栄丸さんが出船する須磨海岸に向かった小生、勝手に須磨漁港から出船するもんだとばかり思っておったが、実際行ってみると須磨の赤灯前から出船するというではないか。
どういうことだろう、と思いながらも現場に行くと謎は氷塊した。
ゲートを抜けてすぐ横が駐車場と受付。
上記画像の中央少し左寄りの自販機前が受付である。
愛想がよくて美人な女将さん?がいらっしゃるのですぐに分かるはず。
この美人女将に料金を支払う。
やがて軽トラが動きだし釣り人が竿を持ってゾロゾロと着いていく。
「どこまで行くんだろう?」と思う暇もなく、目の前の波止でストップ。
どうやらこの小波止に船が着くらしい。
この後、ゲートで渡された札の順番で乗り込む=釣座を決める、ということらしい。
ということは釣座は早い者順ということだが、18番というのはどれくらいの順番か、というと……小生が最後か?と思うぐらい遅い呼び出し順である。
後で聞いたら5:30集合で早い人は4時くらいから待っているらしい。
いやぁ、ご苦労様です…。
まぁ、超初心者なので良い席に座ったところで何もできぬ。
今回は勉強させてもらうつもりなのでどこの席だって同じなのだ。
早く埋まる席を見ていると、やはり大ドモから埋まっていく。
ということはトモ有利のドテラ流し?と思いきや、次はミヨシが埋まる。
??いったいどういうことだろう。
で小生が座ったのは残り物の左舷トモから3席目。
ガシラやタコであればそこそこ良い席である。
最後の人が小生の右隣りに入ったということはドテラ流しではないということか。
と色々考えているといよいよ出航。
ポイントは20分ほど走った場所。
水深は70m弱。
船長さんの「やってよー。底から50mぐらいまで巻き上げて」とのアナウンスでテンヤを投入。
全くもって勝手が分からぬ。
よく考えたら、ここ最近、船釣りではガシラやらタコやら底物ばかりの釣りをしていたので、中層に浮いている魚の釣り方をすっかり忘れておる。
横目で悟られぬように両隣の御仁の挙動を盗み見てとりあえず真似てみる。
底まで落として、そのまま…えっそのまま?
いや、船長は巻き上げろと…あれ?聞き間違い?
なんて思っていたら、両隣ともに電動リールの自動巻き上げで巻き上げておられる。
それも超微速である。
なるほど、スローに一定で巻けばいいのか、と思っていたら左の方にいきなりヒット。
上がってきたのは陸から釣るサイズと明らかに異なるブットいタチウオ。
小生にも可能性があるぞ!!と稀にしかみせない集中力でリールを巻きあげる。
途中でなんだかコツコツと違和感。
?どうすりゃいいんだ?これがアタリなのか?合わせりゃいいのか?タイラバみたく巻き合わせなのか?
?マークをいっぱい出しながらも竿がそれ以上重くならないので30m付近まで巻き上げてくる。
う~ん、どうやら気のせいだったみたいだ。
船長の指示ダナは底~50mなので水面まで巻き上げずにそのまま底に落とす。
それを3回ぐらい繰り返した時に船長から「上げてよ~」のアナウンス。
水面までテンヤを巻き上げてくると
どうやら最初の違和感で掛かっていたらしく、その後も律儀にテンヤと一緒に上がり下がりしていたらしい。
陸から釣るにしても小さいベルトサイズだったので、小生の拙い腕では掛かっていることが分からなかったようだ。
それでも小生初のテンヤでのタチウオである。
型の大小関係なく単純に嬉しい。
次のポイントも同じような水深で、ウキウキしながら同じように巻き上げてみる。
が、今度は違和感がない。
5度ほど底を取りなおしたところで「上げてよ~」のアナウンス。
周りの電動リールがギューンと唸るなか、負けじと必死にリールを巻き上げる。
すると30m付近でドンッといきなりきた。
え?指示ダナでもないし、高速リーリング中だし…ボラか何かに引っ掛けた?なんて思っていたら、
まさかのタチウオである。
しかも指4本のナイスサイズ!!
ありゃ、こんなこともあるんだねぇ…ビギナーズラックって怖い…。
そんなこんなで一流しごとに1匹ずつ釣れていき、2時間後には
ただ、こんなうまい話が続く訳もなくこの後暫く釣れない時間が続く。
だんだんと底が取りにくくなり、船長指示の水深よりも多めにラインが出ていく。
時たまオマツリしてしまうのだが、決まって右側の釣座の人とオマツリしてしまう。
ラインは左に流れて行くのにオマツリは右の人…2枚潮か!!
うわぁ、初心者には厳しいシチュエーションである。
そもそもテンヤが水中でどんな動きをしているのか分からぬ。
むむむ、こりゃどうすりゃいいんじゃ!?と戸惑いまくっていると…
「兄ちゃん、そんな小学生みたいな釣り方やったらアカンで!!」となんだか強面のオジサンが後ろに。
「うわぁ、ごめんなさい!!初めてのクセに調子乗ってすみません!!!!」と心の中で叫んでいると、小生の後ろから手を回し、竿を一緒に持って「こうやるんや」と耳元で囁かれる。
あら、恥ずかしい、そんなことされるとキュンとしちゃうじゃない…なんてご婦人なら思われるのであろうが、こちとらアラフォーのオッサンである。
オッサンがオッサンに背後から抱き着かれている構図というのは傍から見たらさぞかし気持ち悪いものであったろう。
この強面のオジサン、どうやら中乗りさんのようで、小生のヘナチョコぶりを見るに見かねて教えてくれようとしているらしい。
こっから先はもう軍曹と三等兵の関係である。
「今、上潮はどっちや!?」
「西から東であります!!」
「底潮はどっちや!?」
「東から西であります!!」
「やったら竿先がそんなに上でどうすんねん!!こうやってラインが張るまでクラッチ切らない!!」
「イエッサー!!」
「ラインが張ったらライン補正できた証拠や!クラッチ切って!!」
「サー!イエッサー!!!」
ホントにこんな感じですごい勢いで教えてくれる。
小生、どうやら強面で語気が荒い御仁の目に掛かってしまう体質らしい。
名田屋の大船頭といい純栄丸の中乗りさんといい、いやぁ、うれしいやら悲しいやら。
ホントに自分がドMで良かったよ。
でもこの中乗りさん、名田屋の大船頭と同じでなんとか釣らせようとしてくれているのがすごく良く分かる。
それも「こうなるからこうする」というような理屈を順序立てて説明してくれるのでとても分かりやすいのだ。
中乗りさんなので小生に付きっ切りという訳ではないのだが、時間がある限り小生の後ろについて教えてくれる。
おかげで酷い2枚潮で周りの方が釣れていない中、なんと3匹も追加することができた。
で、終わってみると初体験で9匹!!
初めてで9匹も釣れたら御の字だ、とホクホクしていたら
「兄ちゃん9匹か、トップやで!!」
と中乗りさんが笑いながら教えてくれた。
え…トップってどういうこと!?
マジッすか!!? まさかの竿頭!!!!
もう完全に中乗りさんのお陰である。
小生1人では絶対に釣れない数であった。
家に帰って長さを測ってみると
太さは
うん、納得のサイズである。
今回、初めての釣りに挑戦した訳であるが、2枚潮や大潮の激流でもない限り、比較的取っ掛かり安い釣りではある、と感じた。
ただ特殊な状況になった場合は途端に太刀打ちできなくなってしまう。
釣れないだけならまだしも、オマツリの原因になったりして周りのお客さんに迷惑をかけてしまう可能性があるので要注意。
そういう時は素直に船頭さんや中乗りさんに助けを乞うのが得策である。
悪運強くビギナーズラックと中乗りさんのおかげで竿頭になってしまった小生、こりゃ通って勉強せねばなるまいに。
となってくると電動リールが…。
当面の攻略対象はタチウオではなく細君になりそうである。
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